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『ジェニン報告』 part2
ここではっきりさせなければならないのは『虐殺』の定義です。民間人が死亡することがイコール、虐殺ではありません。戦闘中に本来の攻撃目標ではない民間人、あるいはその居住地域に被害を与える事はいわば『戦闘事故』だと私は判断します。これは当然、その行動をとった兵士、その上官、そして軍がこの事故や不注意に対する責任を取らなければならないと思います。例えていえば、警察官が武装犯に発砲し、流れ弾が民間人に当たって死亡したのと同じで、これは『悲劇』ではありますが、『虐殺』ではありません。 虐殺でも英語のGenocideとなるとMassacreと違い、『民族大抹殺』というような意味がありますので、ジェニンに関してはGenocideが定義する『虐殺』には到底あてはまりません。当然、攻撃を仕掛けてくる戦闘員に対する反撃、それによる死傷は、それがたとえ百万人でも『虐殺』ではありません。 現段階での私の『虐殺』の定義は、戦闘意志のない個人や集団(民間人は当然として、降伏したり、負傷した兵士も含む)に対し、事故ではなく、それと知りながら、故意に危害を加え、殺害することと判断します。 ここからは、ジェニンで私が見たこと、その事例、パレスチナ側、イスラエル側からの証言や発表とそれに対する私の分析を含めてレポートさせて頂きます。 まずはパレスチナ自治区のジェニンに対し、イスラエルが攻撃をする権利があるかどうか、という点を考えます。 バスで移動中、レストランやカフェで食事中、結婚パーティでダンス中の戦闘意志のないイスラエルの民間人を、それと知りながら、パレスチナ人が故意に自爆し、それらの人を殺傷することを『正規の戦闘行為』と捉えていいかどうかが第一の重要ポイントです。これには先日ヘブロン近くのユダヤ人入植地で起きた、パレスチナ人による家宅侵入襲撃事件(自宅のベッドの下に隠れていた5歳の女の子を射殺)も含まれます。もし、上記のものを『正規の戦闘行為』と見なすならば。イスラエル軍にも幼稚園や小学校、病院を襲撃し、無抵抗な一般市民を故意に殺害する権利があるはずです。
『戦争』というのはある一定のルールのもとならば条約や国際法上行ってもいいことになっているはずです。双方が戦争のルールに則った方法によって戦闘が行われていれば、基本的には問題ありません。これは人道上、倫理上の問題とは別にして考えなければならないでしょう。 パレスチナの軍備や抵抗力はイスラエルの日常生活を脅やかす事は出来ても、正規の戦闘で完全勝利出来るレベルではありません。それにイスラエルとパレスチナの間で結ばれた『オスロ合意』ではパレスチナ自治警察以外の人間が武器を携帯することを禁じています。 もし、この一連の戦闘がパレスチナ警察官のみによって行われたと仮定して(実際はそうではないが)、彼らに残された有効な戦闘行為は、正面きってイスラエル正規軍と戦うことではなく、ゲリラ的に『ヒット&アウェイ』攻撃でイスラエル軍の戦闘意志を消耗させていくという手段しかないでしょう。しかしこの戦法は相手が戦闘員でなければなりません。いくら敵に精神的ダメージを与えられるからといって、明らかに戦闘意志のない非戦闘員(民間人)を故意にターゲットにして殺害していくのはまさに『虐殺』です。これが個人の意志によるものならば、いわば殺人事件です。 ある政府(この場合、パレスチナ自治政府)が正式に「自爆によってあらゆるイスラエル人を殺す」と宣言した場合、これは組織的なテロ行為と考えられても仕方ありません。まともな政府なら何らかの自衛手段を講じるでしょう。もしイスラエル政府が自爆されるのを恐れて、パレスチナ側の要求を飲んだ場合、テロが交渉のいち手段になるという、世界にとんでもない前例を遺すことになります(日本には超法規的措置という名のもとに行なったが前例がある)。 パレスチナ人の多くは、自らの土地を失い、難民として50年以上の筆舌し難い苦労を重ねてきました。あるイスラエルの政治家が「私がもしパレスチナ人だったならテロリストになっていただろう」とコメントして大問題になったことがありますが、実際ここに暮らしてみて、私も自らそれを実感します。こんなに希望もなく、将来もない環境では、私でもそのイスラエル人政治家と同じことをコメントすると思います。占領地での難民生活はちょっと今の日本では想像できないくらい困窮しています。 そんな彼らが自爆して人を殺してやろうなどと考えるのは余程追いつめられてのことだろうし、彼らの精神的な閉塞状態も十分理解できます。どんな理由であれ、家族や友人を殺されれば復讐してやろうと考えるのはイスラムのみならず、世界共通の心理だと思います。 しかし今回のジェニン虐殺疑惑は、そういった感情論は別のものとして考えています。 イスラエル当局は、今回頻発した自爆や襲撃事件のほとんど全ての実行犯がパレスチナ自治区(ガザ、ウェストバンク)出身であり、爆発物の製造、襲撃準備も同区で行われ、イスラエル国内に持ち込まれたという捜査結果を出しました。 本来、パレスチナ自治区内の捜査はパレスチナ警察によって行なわれるはずですが、イスラエルに『宣戦布告』しているパレスチナ自治政府に、イスラエル襲撃犯の捜査など期待出来るはずありません。かくして『Operation Defensive Shield』(防御、自衛の盾作戦)と称するテロリスト掃討作戦がナブルス、ベツレヘム、ヘブロン、ジェニン、カルキリヤなどでイスラエル軍総出で遂行されます。 その方法、結果などをパレスチナ、イスラエル双方の意見を交えて『ジェニン報告Part3』で報告させて頂きたいと思います。
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