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2002年
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森口康秀
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『ジェニン報告』 part4 前編


この『ジェニン報告』part4が、最後の『ジェニン報告』となります。今後は、ジェニンで何が起きたのか以上に、今何が起きているのか、そして何が必要かを考えなければならないと思っています。



ジェニン入りした国連使節団 ジェニン入りした国連使節団

ここでは最初にイスラエル政府が、何故頑なに国連調査団の受け入れを拒否し続けたかを考えたいと思います。

今までの『ジェニン報告』で明らかなように、たとえイスラエル軍のジェニンにおける軍事行動が『虐殺』でなかったにしても、『悲劇』であった事は間違いありません。

イスラエル側は「隠す事は何もない」と言いながらも、国連調査団の受け入れを拒否し続け、ついに5月2日、調査団はジェニンに入る事なく解散してしまいました。

ジェニンで何が起きたかを調査する目的で構成された『UN Fact-Finding Team』(国連調査団)にはあからさまに反イスラエルの意志を示すメンバーが含まれていたとされ、イスラエルの要求によって、それらのメンバーは調査団からは除外されました。しかし、これがイスラエルに「一方的にイスラエル軍の戦争犯罪を暴く」想定でこの調査団は結成されたという印象を与えてしまったのだと思います。

そして、メンバーの中に軍事に関する専門家がいなかったことがイスラエルに大きな不満を持たせます。ジェニン難民キャンプのあの惨状を、軍事・戦術的知識がない人間が、人権擁護の見地のみから調査すれば、イスラエルが一方的に犯罪者に仕立て上げられる可能性があると判断したのでしょう。

私も以前の報告の中で述べましたが、キャンプの破壊状況は限定的とはいえ、圧倒的な威圧感があります。あの場に立てば誰でも少なからぬショックを受けるはずです。私の周りにいた平和活動家、ジャーナリストの一部は、ひたすらパレスチナ人の証言を真実のように捉えてしまう傾向がありました。実際、それが全て事実だと思わせるような威圧感があそこには存在します。

しかし、あの惨状はイスラエルの軍事力がパレスチナよりも優っていたこと、戦闘が壮絶であったことを示すものであって、イスラエルの一方的な戦争犯罪を示すものではありません。問題はそこでのイスラエル軍の軍事行動が軍事・戦術的に適正であったのか、民間人の犠牲者は屠殺されるがごとく『虐殺』されたのか、それとも『戦闘事故』によるものだったのかといことではないでしょうか。

たとえば、爆弾を抱えイスラエル兵に向かって走ってくる小学3年生は、民間人でしょうか、戦闘員でしょうか?イスラエル兵にはその小学3年生に対し発砲する自衛権はあるのでしょうか?

イスラエル兵の警告に応じない民間人を、爆発物所持の戦闘員だと判断するのは間違いでしょうか? その人間に対して発砲し、死傷させた後、武器・弾薬類を持っていなかったことが判明した場合、これは虐殺でしょうか、戦闘事故でしょうか。

パレスチナの戦闘員が軍服を着用せずに、民間人に紛れて戦闘を行った場合、発生した民間人の犠牲者は一方的にイスラエル軍の責任なのでしょうか。

ジェニンでは大人だけでなく、女性も子供も老人も犠牲になっています。それらが戦闘員であったのか、民間人であったのかは、いくら調査されても『想像』の域を出ないものも多いはずです。まさに死人に口なし。非常に思想に偏りのある、あるいはある必要分野の基本知識に欠ける調査員がその『想像』をした場合、もたらされる報告結果は公正であるとは言えるでしょうか。

イスラエル軍戦車兵 イスラエル軍戦車兵

倫理、道徳、人道上の見地から考えれば、民間人、戦闘員にかかわらず、人間が殺されること自体が容易に受け入れられるものではありません。しかしここでは人が何百万人死亡しようが、「可哀想」とか「ひどい」とかといった感情論は別に考える必要があると思います。

イスラエル兵もテロ根絶のために必死なら、パレスチナ人も自分の町と人々を守るのに必死で戦っています。必死な余り、時として双方手段を選ばない戦闘もあったはずです。このジェニンにおける調査は公正な報告結果をもたらすには、やはり軍事の専門家が不可欠と考えられます。

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関連リンク

『ジェニン通信』
『ジェニン報告』 part1
『ジェニン報告』 part2
『ジェニン報告』 part3 前編

 


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